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2007年05月17日

化学物質は全て悪なのか?・・・環境運動と化学物質

皆さんは DDTって知ってますか?←プロレスの技ではありません・・・という小ネタはおもしくないので止めにして。

DDT((ClC6H4)2CH(CCl3))とは、かつて使われていた有機塩素系の 殺虫剤であり 農薬のことです。

DDTは、1873年に初めて合成され、1939年にスイス科学者パウル・ヘルマン・ミュラー氏によって殺虫効果が発見。その後、第二次世界大戦によって日本からの除虫菊の供給が途絶えたアメリカで実用化された。
非常に安価大量生産が出来る上に少量で効果があり人間家畜無害であるように見えたため爆発的に広まった。



日本では、戦争直後の衛生状況の悪い時代、アメリカ軍が持ち込んで、シラミなどの防疫対策として初めて用いられた。
ほらほら m041 外地からの引揚者や、一般の児童頭髪薬剤(粉状)を浴びせる防除風景は、ニュース映像として配信され、若い人の中にも記録映像としてご覧になった人もいるでしょう。
また、衛生状態が改善した後は、農業用の殺虫剤として利用されていました。

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このDDTの最も効果をもたらした一つが、マラリア対策。
ハマダラ蚊が媒介するこの恐ろしい病気は幼い子供が犠牲になる。高熱を伴い、酷く苦しい病気であることが知られている。

例えば殺虫剤DDTがなかった頃の沖縄の南風見では、約四カ月間で、22人の児童を含む85人マラリアの犠牲になり、感染者が波照間島へ戻ってさらに猛威を振るい、66人の児童が亡くなったらしい。
その沖縄にDDTが到着して、マラリアは退治されたのである。


それまで使われていた、「トリカブト」などの殺虫剤は昆虫にも人間にも、毒物だったので、人間には毒性を示さない、「量」に注意して使わなければならなかった。 でもDDTは人間の神経にはほとんど影響を与えず昆虫の神経だけを攻撃するという性質だったから多用されるようになったのである。

 ところが人間に対して毒性が低いということになると、人間というものは単純なもので、マラリアなどの退治に対してのみ慎重に使えばよいものを、大量に製造しヘリコプターから大地にくまなく散布するということを続けたのである。

やがて大地には昆虫がいなくなり、昆虫を餌にするが少なくなり、春になっても鳥のさえずりが聴こえなくなった。そうなると、今度は人間が、ヒステリー状態 Evil or Very Mad m252 になる。
「原因はDDTだ。DDTを追放せよ!」・・・かくして製造が中止される。

直接の引き金は、1962年に出版されたレイチェル・カーソン氏「沈黙の春」でDDTは悪魔白い粉として評価が逆転してしまうのです。

その大きな要因として、農薬は使用されると分解して水や二酸化炭素などの単純な物質に変化していくが、DDTの分解物は非常に安定して分解しにくく環境中に長く留まり影響を与える可能性があり、また食物連鎖を通じて生体濃縮されることが分かったため。また極めて危険な発癌物質とされ、そのため、日本でも、1968年(昭和43年)に農薬企業が自主的に生産を中止、1971年(昭和46年)には販売が禁止され使われなくなった。

しかしDDTが使用禁止になったことにより経済的にも工業的にも弱体である国では有効な殺虫剤失うことになり、コスト的に見合う代替品の入手が困難になったのです。
その歪みが顕著に現れたのがスリランカです。DDTのおかげで、一時期マラリアの罹病数が激減 m097 したが、結局散布中止で、罹病数が復活 m096 m096 しています。
*下データはスリランカのマラリアの罹病数の推移です。


年                 罹病数
1946(DDT散布開始)  2,800,000
1961                  110
1963                   17
1964(DDT散布中止)        150
1966                  499
1967                 3466
1968            2,500,000
1969            2,500,000


ちなみに2006年9月15日のWHOニュースによると、世界で毎年5億人急性マラリアに罹り、100万人以上が死亡しており、その制圧のためにはDDT屋内に限定して使用すべきだと勧告しています。 *屋内散布はハマダラ蚊の潜む家の壁や天井や家畜小屋にまくことで家全体を覆う蚊帳の役割を果たし、外部の自然を壊さないというもの。

DDTの発癌性についても、国際がん研究機関による発癌性の評価は当初、グループ2Bの「人に対して発がん性が有るかもしれない物質」に分類されていたが、その後の追試験によってグループ3の「発がん性の評価ができない物質」へと変更されています。


ここでは、レイチェル・カーソン氏正しいとか間違っているとか、あるいはDDT安全かという一つの事象を問題視したいわけではありません。
レイチェル・カーソン氏は大学院まで生物学を学んではいるが、作家であり、その観察眼により警鐘を鳴らしたことは非常に重要だったと思います。


しかしそもそもDDT使用の目的発疹チフスマラリア対策です。


先進国ではそのおかげで激減したし、DDT中止後も代用品によって問題は解決したようです。


一方で発展途上国ではさらに40年以上もその被害で苦しんでいる現実が厳然と存在しています。(マラリアでの死亡者の86%がサブサハラ・アフリカの人)


しかもDDTの中止によってその後の自然保護実現したと言えるかどうかは、現状からすると疑問で、むしろ発展途上国においては、先進国によって自然は破壊され、さらに病気も減らずという二重苦にさえなっている気がします。

そういう意味では環境問題のさきがけと言われる「沈黙の春」を取り巻く社会的な背景とその後の環境運動へのつながりを探り、”自然の摂理で環境を考える”ことがどんなことなのか、探索してみたいと思います。では m071 m071


参考:リンク
リンク
  byコバヤシ


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DDTの問題に限らず、
人工物質=悪、天然物質=善
みたいな価値観が根強くあることには、とても違和感を覚えます。結局、実態、事実はどうなの?っていうところが深く追求されていないということだと思います。

  • 長谷 2007年05月24日 22:40

>長谷さま
コメントありがとうございます!

何でも善悪の色分けしたがるのは危険だと私も思います。
自然界にも毒はあり、その毒が薬になる場合さえあります。
共存とは自然界にとどまらず人工物も含めて考えるのが現実だと思います。

  • コバヤシ 2007年05月25日 13:39
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