2008年08月07日
赤外線放射吸収には限界がある

人間由来のCO2温暖化説のきっかけとなったキーリングの二酸化炭素測定方法とはどんなものだったのでしょうか?
ハワイのマウナロア観測所で行われたそれは現在でもよく用いられる
「非分解性赤外線分析」によって、14年に及ぶ一連の二酸化炭素濃度の測定したのです。
物質を構成している分子は、それぞれ特有の原子間振動を持っており、この振動モードの振動数に応じた波長の光を吸収し、圧力が一定のガス体では濃度に対応した吸収を示すことがわかっています。
この原理に基づいて、二酸化炭素の主要な吸収波長帯域である15μm 付近の波長帯域に強い吸収帯を持つため、これらの波長域付近における赤外線吸収を測定することにより、その成分濃度を測定しているのです。これが「非分解性赤外線分析」というやつです。
この二酸化炭素(温暖化ガス)の波長吸収によって地表面に放射されることで温暖化する(いわゆる温室効果)というのが皆さんご存知のCO2温暖化説の原理ですよね。
ところが、
温室効果ガスの放射吸収率(=熱放射率)には飽和状態というものがあり、それ以上熱放射率は上がらず気温も単純に上がらないことを知っていましたか?
■大気の吸収特性とは
先ほど話した波長吸収についてのグラフによると、地表に到達した太陽放射によって温められた地表は、大気へ向かって赤外線を放射します。これを地球放射といいます。
大気を構成する各分子は、個々の吸収特性に応じて、地球放射の特定の波長帯の赤外線を吸収します。最も地球放射のエネルギーの高い波長帯を含んで、約12μm以上の波長帯では水蒸気(H2O)が大部分の赤外線を吸収する。8~12μmの範囲は、顕著な吸収帯に重なっておらず、地球放射は大気に吸収されずに大気圏外へ放射されます(大気の窓)。
二酸化炭素は15μm付近の赤外線を吸収し、放射するんですね

参考:(二酸化炭素地球温暖化脅威説批判 近藤邦明)
■飽和するとなんで放射しないのか?
下のグラフを見てください。
Hottelが実験に基づいて作成した二酸化炭素の熱放射率推定図表をもとに、Faragらは放射吸収率が次の関係式で推定できることを示しています。計算式は以下のようなものです。
εG = z-Σai・exp(-ki・pG・lG) ・・・ (1)
ai = b1,i + b2,i τ+ b3,i τ2
z = c1 + c2τ+ c3τ2
τ=TG/1000
εG : ガスの放射吸収率
TG : ガスの絶対温度(K)
pG : ガスの分圧(kPa)
lG : ガス塊の放射有効厚さ(m)

二酸化炭素吸収率計算エクセルシートを活用し、図4の二酸化炭素濃度と放射吸収率の関係グラフを作成した。現在の二酸化炭素濃度は370ppmである。グラフより、二酸化炭素濃度が増加したときの放射吸収率がわかる。二酸化炭素の濃度が大きくなると吸収率の増加にブレーキがかかる。これは濃度が大きくなると、二酸化炭素による吸収が飽和することを示している。
(二酸化炭素濃度(ppm)の増加に伴う大気温度変化の計算(Excelを用いた地球温暖化計算)
上記のグラフから二酸化炭素濃度の吸収率には上限があり、その分大気温度の増分にも上限があることがわかります。
参考:温室効果ガスの温室効果度
また、Jack Barrett の論文「Greenhouse molecules, their spectra and function in the atmosphere」(2005)によると、水蒸気:288K、湿度45%、7168ppmのとき、
・波長15μmの帯域においても、水蒸気による吸収の方が圧倒的に大きい。
・二酸化炭素濃度が産業革命前の2倍になっても0.5%しか赤外吸収率は増えず飽和状態に近い。
・大気中の二酸化炭素濃度が570ppm に倍増してもほとんど変化しない。ことがわかっています。
(参考:赤外吸収=温暖化ではない)
つまり飽和状態があるということは、二酸化炭素による温室効果にも上限があり、CO2濃度が上昇しつづけてもある一定の吸収率を保ちつづけ、それ以上温度は上がらないということになりますね。
ということは、他に気温上昇の原因(太陽による自然要因、工業化による「熱」そのものの排出など)あるということになるのではないでしょうか。
※追記
巷では「CO2の増加温度上昇の原因か結果か?」という点について様々なブログなどで議論されていますが、ちなみに私個人ではどちらの立場でもありません(どちらかといえば懐疑論派よりではありますが)。ただ事実が知りたいのです。
仮にCO2が原因で温度上昇があったとしましょう。
ところが、これまでのCO2削減運動(環境運動)において実現してきたものは一体なんなのでしょうか?環境商品や原子力発電の利用、CO2etc.・・・結果、その政治や市場に乗せられることで、環境負荷を増大させ、本質問題に目が向けられなくなってしまっています。
温暖化問題に限らず環境問題の全てにおいて貫かれる本質問題として、「では原因がCO2にあるならばCO2を少なくすれば良い。」という目先的な思考によるもの、もしくは原因が突き止められていないが、温暖化の可能性のあるものは早期に対応策を打たなければいけないという不安発の思考そのものだと思っています。
- by tutinori
- at 23:19



comments
CO2や水蒸気等の温室効果ガスが地表放射赤外線を吸収した後に、再放射するということは、大気中に漂っている温室効果ガス自体が一切加熱されないことになりますので、上昇気流や雲が発生しないことになります。
なのに、地球大気の約半分は、常に雲に覆われています。
この1点の矛盾が解消されない限り、温室効果ガスの濃度が上昇しようが低下しようが、温室効果ガス地球温暖化理論は、デタラメに過ぎないので、全ての温暖化対策は茶番だということになります。
スパイラルドラゴンさん
コメントいつもありがとうございます。貴殿のHPはいつも参考にさせていただいてます。
>温室効果ガス地球温暖化理論は、デタラメに過ぎないので、全ての温暖化対策は茶番だということになります。
私もそう思っている一人ですが、貴殿のおっしゃられていることは、「吸収されたエネルギーが再放射される前に、大気中のその他の物質(水蒸気やら酸素やら窒素やら)との分子間での衝突によって、運動エネルギーや熱エネルギーに使われてしまう」ということですよね。
あと、熱力学第2法則上、熱の移動が下方に向かうことが無い。ということもそうだと思うのですが、
ただ一つ疑問なのが、それだと熱収支の説明はどうなるのでしょうか?
なので、「再放射自体はあるが、限界はありすでに大気中では飽和状態に近い状態なのでこれ以上、温室効果ガスによるいわゆる温暖化は無い」というのが今のところの稚拙な自論なのですが、その辺はどうでしょうか?
>「吸収されたエネルギーが再放射される前に、大気中のその他の物質(水蒸気やら酸素やら窒素やら)との分子間での衝突によって、運動エネルギーや熱エネルギーに使われてしまう」ということですよね。
「再放射」が優勢となるのは、気圧が低い対流圏上部に限った現象で、それ以下の高度の大気圧下での気体分子の挙動は、断熱膨張と断熱圧縮のメカニズムに支配されているからこそ、地球の約半分は常に、水分子が主成分の雲に覆われているのです。
また、気体分子の運動エネルギー=熱エネルギーですし、分子の運動エネルギーが高まる=分子の衝突速度が早くなるということです。(分子の運動速度が早くなった状態を保持する性質が高いのが、温室効果ガスの特徴です。)
また、肯定派が主張する「再放射」とは、光学的反応(ミリ秒単位の反応)ですので、本来ならば温室効果肯定派からは、再放射プロセスでの「時間」についての説明があるべきなのに、肯定派からは、この「時間」に関する説明は一切ありません。
よって、肯定派が主張する温室効果ガスが吸収した熱エネルギーを再放射するということは、温室効果ガスが全く加熱されないと理解しても差し支えないと思います。
つまり、温室効果肯定派による温室効果理論とは、温室効果ガスの種類にかかわらず、赤外線活性分子が吸収した赤外線を「再放射」するので、温室効果ガスが「熱エネルギーを吸収しない」という論理に帰結します。
よって、上昇気流も雲も発生しない理論だということになるのです。
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>CO2の放射率が小さいのではないかと、PERRY のHANDBOOKの図に
いきつき、どうしてかなと考えていたので放射吸収率の飽和は大変参考になりありがとうございました。
>再放射について
大気(低温側)からの再放射で地表面(高温側)を加熱しているように、
考えられておられるようですが、
高温側からも低温側からもどちら側からもいつも赤外放射は相手側に届きますが、その場合高温側のほうがエネルギーは大きいわけですから、さしひきした熱が地表面(高温側)から大気(低温側)に流れます。すなわち、地表面の放射放熱です。(教科書の記述による)
高度の高い(低温側)大気からの放射はつねにありますが、差し引き高度の
高い(低温側)大気は、高度のより低い大気(高温側)から差し引き熱をもらっているのです。(どの大気もその温度に応じた赤外放射を常に行っている。)
CO2濃度増加による大気温度増加の計算も、太陽からの入射エネルギー
が277しかないのに、吸収率が上がれば、計算式ではエネルギーが増えることになり、CO2の場合とは違いますが、放射吸収率が100%ではエネルギーが倍のときの大気温度上昇になってしまいます。
エネルギーは太陽の入射しかありません。
CO2の増加は、とりこぼしていた赤外放射エネルギーを捕獲するだけだと思います。
地表面からの伝熱のうち、放射伝熱は40%くらいでしょうから、CO2の活躍の場も全伝熱の4割と考えるのが妥当ではないでしょうか?
http://homepage1.nifty.com/gfk/kyusyuritsu-keisan.htm
>温室効果ガスの吸収率の推定
II = (1-a/2)・IE ・・・ (4)
は成り立たないと考えられるのですが。
どうなんでしょうか?
すなわち a/2・IE が地表に返還されたままになっており
宇宙空間に放出されていないのです。地球に蓄積がつづくことになります。
従って4式は地表への入射エネルギー=宇宙空間に放出されるエネルギーになっていないのです。
II > (1-a/2)・IE ということだと思います。
二酸化炭素の増加とともに水蒸気の濃度上昇が起こります。
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/ipcc/ar4/ipcc_ar4_wg1_es_faq_chap1.pdf
↑8p目
「Excelを用いた地球温暖化計算」のリンクありがとうございます。
温暖化の計算内容を議論検討もせず、温暖化対策だけが先行する世の中が変と感じています。ここでの議論は有意義だと思います。
書籍を出版しました。
「Excelで操る!ここまでできる科学技術計算」
丸善 出版事業部
地球温暖化計算も掲載しています。こちらもよろしく。
>二酸化炭素の増加とともに水蒸気の濃度上昇が起こります。
確かに理論的にはそうでしょう。
問題は二酸化炭素濃度の増加によって、地表面にどの位の熱がこもり、その熱によって水蒸気がどの位新たに生成するのかですね。
二酸化炭素が数100ppmと少ないですから、吸収・放射する熱は大きくなく、新たに生成する水蒸気も潜熱が必要ですから数10ppm?と少なく、影響を及ぼすほどはないのでは?(もともと水蒸気は大気に存在し、そこに新たに加わる)
http://feliscatus.blog77.fc2.com/blog-entry-88.html