2008年09月11日
『水資源』の危機!!どうする?-⑦:2.水資源の危機とは 4)このままだと、今後どうなる?:食料危機に直結している
そもそも、水資源というものは、自然循環の中では、偏在性を有するということが前提であった。だから、本来ならば、地球上のある地域で地下水が枯渇したり、河川が汚染されても、それはその地域のみにのことであって、全世界的に影響を及ぼすには至らなかった。
しかし、現代はどうか?エネルギー・食糧・工業品などを、各国が分業を行う市場のグローバル化に伴い、海外に依存を強める中で、水資源は、自然循環の枠から外れた、新しい偏在性を有するようになった。つまり、これまで述べてきた水資源の悪化が、地域を飛び越え、全世界に影響しうるということになる。
その影響が、私たちにとって、どのような危機をもたらすのだろうか?
水資源の危機シリーズも、いよいよ前半のラストです。ぜひ応援お願いします。
食糧問題に直結している
日本の食糧自給率は、カロリーベースで40%と言われている。ということは、残り60%(1245万ヘクタール相当の農産物・食料)を海外に依存しているということになる。
日本が依存しているのは、単純に食料の面だけではない。食料を海外に依存しているということは、それらを作るために用いられる水もまた、海外に依存しているということになる。もし日本が、これらの輸入食料を全て自給するとなると、627億トンもの農業用水が必要となる。日本国内での灌漑用水は527億トンと言われており、まず何より水資源不足のために、自給率100%を達成する事は不可能なのだ。
ミツカン水の文化センターより-日本を含めた世界中の多くの国が、水の輸入国であることがわかる-
この状態は、何も日本に限ったことではない。今や世界各国で食糧のやり取りが行われており、全く海外に依存していない国の方が珍しいだろう。
では、逆に輸出国(アメリカ、中国、オーストラリア等)の状況はどうだろうか?今後も多くの国々の『世界の食糧庫』たりうるのだろうか?
これらの国々の農業用水も、先に述べられた3つの危機に晒されている。
≪①水使用量の増大≫ ≪②水資源の汚染≫ ≪③水の循環系の破壊→砂漠化≫
その原因となっているのが『灌漑農業』と『F1種を用いた超近代農業』だ。
灌漑農業
ライフスタイル23より-アメリカ・アイダホの農場。緑の箇所が灌漑で水が行き渡り食物が育つ箇所。それ以外の周辺は、自力では植物が育たない、乾燥地域であることがわかる-
『灌漑農業』は、従来の天水農業と違い、地下水や河川の水を引っ張ってくることにより、降水量の少ない地域でも農業を可能にした。大規模農業が実現されれば、それだけ多くの水を使うことになり、農業用水の使用量増大を招く。また、広い農地は、人の手だけでは管理が難しく、より生産性を高めるためにも、農薬や化学肥料に頼ることになり、結果さらなる土壌汚染→水質汚染を招く。
F1種や遺伝子組み換え作物を用いた超近代農業
Garbagenews.com-F1種や遺伝子組み換え作物は、今や世界の主流である
一方、『灌漑農業』を更に発展させた『超近代農業』では、遺伝子操作をしたF1種を用いることにより、単収を上げることに成功した。このF1種は全世界の農業の主流であり、日本と言えども例外ではない。F1種の特徴としては、以下のことが上げられる。
①個体間のバラつきが少ない
②成長が早い
③収量が多い
④一斉に発芽し、一斉に収穫できる
⑤耐肥性がある(肥料によく反応する)
⑥強力な農薬への抵抗力が高い
⑦一世代限り
早い成長や一回当たりに実る量を増やそうとすれば、当然その分水や肥料を必要とする。
そして多くの肥料をまくため、それに耐えうる個体でないといけないため、耐肥性が強くなる。しかし、多くの肥料をまくといくことは、その分雑草などにも栄養豊富な状態となる。そのため、強力な農薬で雑草を駆除するために、その農薬への抵抗力が必要となるのだ。それが更なる土壌汚染→水質汚染を招く結果となった。
元々、灌漑に頼る地域の水資源は限界がある。たとえば、アメリカの大穀倉地帯は、8州にも跨り、水量が4,000k(琵琶湖150杯分)にもなる巨大な“オガララ帯水層”に依存している。帯水層の水は化石水と呼ばれ、氷河期に長い年月をかけて地下に蓄えられたものである。現在は、ゆっくりと水がしみこむ程度で涵養水量は6~8k/年に対し、揚水量は3倍の22.2k/年と、はるかに上回っており、地下水位も、ここ数十年で20~30mも低下した。この一帯では、数千の農場で井戸が枯れたとも言われており、既に耕地面積の減少にも繋がっている。
世界の穀倉地帯がこのような状況に置かれるということは、アメリカ国内だけの問題ではない。ここに依存している多くの国々が影響を受ける、世界的な食糧問題に発展するということだ。収量が減れば、農産物の価格高騰は免れない。困るのは、日本のような、食糧の多くを海外に依存する国だけではない。一番影響が大きいのは、高騰した農作物を買うことが出来ない発展途上国の国々である。そうなれば、貧困と飢餓の問題が、より一層深刻化するだろう。
参照
■るいネット
■自然の摂理から環境問題を考える
■食神
■『水戦争-水資源争奪の最終戦争が始まった』柴田明夫 著(角川SSC新書,2007年)
■『「水」戦争の世紀』モード・バーロウ、トニー・クラーク 著(集英社新書0218A)
■『ウォーター・ビジネス』中村靖彦 著(岩波新書878)
■『水の未来』フレッド・ピアス 著(日経BP社、2008年)
■『水の世界地図』ロビン・クラーク 著(丸善株式会社、2006年)
- by kasi1106
- at 01:59

comments
食糧自給率を前提とすると、かなりやばい状況であることがわかりました。
食品の種類によって、必要な水量が異なり、F1種など、穀物メジャーの牛耳っているタイプのものは、収量を多くするために、必要な水量も多いことが見て取れました。
とすれば、水や肥料を大量に消費する肉類を減らして、国産在来種の穀物や魚介類にシフトするべきだと思います。その生産エネルギーを石油に依存しなければ、自給率は改善するはずです。(肉好きな人にとっては我慢の時代になる?)
農林水産業におけるエネルギー供給および肥料に限定すれば、脱石油は可能ではないかと思います。技術的には充分可能だろうと思いますがいかがでしょう。
むしろ、貿易交渉という、政治課題のほうが厄介なのではないかと思います。
農業という市場原理そぐわない業態を、無理やり市場に閉じ込めたところから発生した問題なのかな?
市場原理から離れた農業の存在基盤が出来ると、この問題は解決するかも?
最近、汚染米の流通が大問題となっていますが、日本は自給する生産力はあるのに、GATTにより輸入を押し付けられとんでもないことになっていますね。
食料自給を考えるってことは、我々が持っている土地や自然の環境の中でどうやって消費と生産活動のバランスをとっていけばいいのか、或いは、どの程度の生活レベルであればやっていけるのか、そのあたりも考えていきたいですね!
近代技術を使って、今は効率的に農産物を生産していても、10年、20年後も同じように出来るのか???かなり無理があるのでは。と思いました。
脱消費型農業を転換していく事は、必ず必要な事ですね。
今は効率的に農産物を生産できていても、10年後、20年後も同じように続けていけるのか???かなり無理があると思いました。
脱消費型農業を実現していく必要がありますね。
本当は必要ないものを大量に生産消費し、そこに、多くの人々を巻き込んできたのが市場経済だとすれば、その市場が縮小し、金融システムが崩壊して、実態を反映した経済システムに変わって行けば、生きていく上で不可欠な食糧生産を担う農業の存在基盤は、再び、確立されて来ると思います。
y.suzukiさん、コメントありがとうございます。
>とすれば、水や肥料を大量に消費する肉類を減らして、国産在来種の穀物や魚介類にシフトするべきだと思います。その生産エネルギーを石油に依存しなければ、自給率は改善するはずです。(肉好きな人にとっては我慢の時代になる?)
農林水産業におけるエネルギー供給および肥料に限定すれば、脱石油は可能ではないかと思います。技術的には充分可能だろうと思いますがいかがでしょう
私もその通りだと思います。
ここの問題が解決できれば、農業による食糧危機問題もとってもクリアになるでしょう。
でもそうさせてくれないのが、y.suzukiもおっしゃられるような、国際的な市場なのですね。
Nickさん、コメントありがとうございます♪
>農業という市場原理そぐわない業態を、無理やり市場に閉じ込めたところから発生した問題なのかな?
ほんと、そうですよね!!
農業って、本来はその地域でとれたものを、その地域で食べていたはず(ちょっと広がっても、腐らず無理なく運べる範囲まで)。
それを、無理矢理商売の道具として、広範囲に拡げようとするから、無理がくるのかな~って思います。