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2009年05月28日

江戸時代をさぐる~村落の所有意識は?

御検地帳 写 高出村
http://www1.ocn.ne.jp/~hanajima/newpage30.htmlより拝借


 江戸時代をさぐるシリーズです。

 hirakawaさんの記事で、お米の流れについてスッキリと書かれてましたが、今回はその米をつくっていた農民の土地所有意識はどうだったのか探っていこうと思います。

その前に、クリックよろしくお願いします。

 

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■私有ではなく共有だったという提起をうけて

江戸時代の土地は現在的な意味での私有はなく、共有に近かった。ただ、年貢を納める代表としての名義は登録されていた。これをもって、西洋と同じ土地私有とみなし、社会体制を分析している文献が極めて多い。

これを前提にするから、社会関係はどのレベルにおいても支配者と被支配者だけとなり、昭和初期まで現存した村落共同体という体制は説明できなくなる。また、現実のこの共同体のおかげで、役割などの充足は十分過ぎるほどあったことも説明出来なくなる。


http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=207508より引用

という提起をうけ、それを裏付けることを調べてみました。


■前提としての太閤検地と徳川幕府による継承
 江戸幕府は、前段の豊臣政権が全国で展開した検地を踏襲しました。その太閤検地とはどういう意味があったのかをまとめると、

 1.全国でどのくらいの生産高となっているのかを押さえた。
 実際に土地の丈量調査を行い、従来貫高で示されていた田畑を石高(生産高)で示すように改めた。また、六尺三寸四方を一歩として三〇〇歩を一段とする段歩制を採用、耕地を上・中・下・下々の等級に分け、使用枡(ます)を京枡に統一した。
 
 2.納税者を直接耕している農民に確定した。
 村ごとに検地帳を作って耕作農民の名を記し、耕作権を保証するとともに年貢負担者とした。

 1.はともかく、2の意味は、これまでの貴族、僧侶などの重層的な利権を剥奪して農民の地位を確定させたことが画期的でした。これにより、武力に基づく力の支配から、武士と農民を分離し、自給自足の村落共同体による米の生産を基盤とした社会を成立させたことを示しています。


■名目としての検地帳の名請人と実態としての村請制
 検地帳は今でも現存しているものが、各地に残っています。そこには、納税責任者としての名請人が記帳されていますが、納税=年貢は実態として村全体で一括して収める村請制に移行していきます。これは、実際の米の生産が、村全体で行う全体課題でなければ成立しないからです。そこでは所有という概念はなく、「村としての共有」という意味しかありません。

 さらに、幕府の政策として、「田畑永代売買禁止令」によって、実質土地を持つだけでは意味がなく、耕してとれた米に価値があるものとしており、あくまで米の生産を担う村落共同体を維持させようとした意図がうかがえます。


■新田開発の事例より

(近世史家田中圭一教授は「村から見た日本史」)
 江戸時代の)新田開発は各地から2男、3男が招かれお互いなんの関係もない人々が力を合わせて従事した。上下の身分関係を持たない百姓が集まって村を作るから公平・協働はがルールの基本となった。土地は家単位で皆に均等に分け与えられた。ハエと呼ばれる開発法は水害や干害の場合の利害の連帯的な保障制度だった。そして協働の精神は個々の家に直接関係のない用水開さくへの労働供与として「余荷」制度を実現していった。

(中略)

田中教授によると江戸時代の小作の取り分は地主:小作=1:1だそうで、小作もかなり豊かだったようである。
 
http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=24182より引用

■共有することが充足だった
 こうしてみると、現在、ほしいものを手前勝手に売買しても、大して充足できない現実と対照的です。
みんなで、共有のものを、共同で生産していくことに価値があり、充足の前提であるという事実が浮かび上がります。

 この原理があったからこそ、江戸100万都市でさえ、下町風情に代表される擬似共同体を形成していったのではないかと思います。

 これは、農民に限らず、町人たちが共同体のもつ充足価値を無意識にも求めていたし、統治側の幕府も、その共同体の維持についてはまさに腫れ物に触るかのように慎重に対処していたのではないかと思います。

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comments

>江戸時代の土地は現在的な意味での私有はなく、共有に近かった

は、非常に参考になりました。田畑を

>「村としての共有」
として大切にし、いわゆる「共有地の悲劇」とは無縁だった事が素晴らしいと思います。


>「田畑永代売買禁止令」

も大切な法律ですね。
今の農地も戦後の農地改革で手に入れた農民が多数な訳ですから、それを勝手に売って利益を上げると言うのは不合理です。

江戸時代も不合理な事は沢山あったでしょうけれど、現代ほどは荒んでいなかったのでしょう。


>ほしいものを手前勝手に売買しても、大して充足できない現実と対照的です。

そうですね。現代の極端な自由資本経済では、ただ経済競争に勝てば大きなお金を得ると言うモラルのないものです。そして共同体が破壊されて来ました。こんな事を放任していたらそのうちグローバルな地球全体の共同体も破壊し尽くすでしょうね。
 人間の数が増えすぎて、人類の影響力も肥大化し過ぎた現代こそ、共同体と言うものが大切ですね。小規模な目に見える共同体に戻る事が大切でしょう。それが持続可能な社会にも繋がるでしょう。

初めての訪問です。
私のほうでリンクを張らせてもらいました。
相互リンクが可能であればいいですね。。。
情報交換ができればいいですね。。。
By A.S. on May 30, 2009

  • A.S. 2009年05月30日 16:26

雑草さま、いつもコメントありがとうございます。

>江戸時代も不合理な事は沢山あったでしょうけれど・・・>

実は、江戸時代の歴史事象について、当時の状況が実際どうだったのかを感じながら分析していかないと、本当に不合理だったのか微妙なものが多いように思っています。

 環境問題と同じように、その後の明治維新政府のプロパガンダが底流にあるからです。

 今後ともよろしくお願いいたします。 

  • y.suzuki 2009年05月31日 00:05

A.S.さま、始めまして。

 ブログ拝見させていただきました。緻密な情報をのせられていますね。参考にさせていただきます。

 相互リンクについては、私も一会員ですので管理人さんにお伝えしておきます。

今後とも、よろしくお願いいたします。

  • y.suzuki 2009年05月31日 00:09

>本当に不合理だったのか微妙なものが多いように思っています。
>その後の明治維新政府のプロパガンダが底流にあるからです。

そうですね。おっしゃる通りです。過去の歴史は世界中で、後の世の権力者によって書き換えられている事が多いでしょうね。・・信頼できない部分が山ほどあるでしょうね。

>当時の状況が実際どうだったのかを感じながら分析していかないと

それはかなり大変な作業でしょうけれど、y.suzuki さんの鋭い分析に期待しています。

>納税=年貢は実態として村全体で一括して収める村請制に移行していきます。これは、実際の米の生産が、村全体で行う全体課題でなければ成立しないからです。そこでは所有という概念はなく、「村としての共有」という意味しかありません。

農民の意識としては・・・
「年貢も村として納める。
そのために、自分は村のみんなの農地の中の一角を役割として任されている」
という感じだったのかな??
支配ではなく、自分達の生きる場を自分達で作っていたという感じですね♪


>統治側の幕府も、その共同体の維持についてはまさに腫れ物に触るかのように慎重に対処していたのではないかと思います。

これ、感覚なんですが、幕府はこれを慎重に対処していたというよりは、大きな共同体の潮流の中に、幕府も組み込まれていたんじゃないかな~と思うんです。
幕府もむしろ、この共同体だからこそ上手くいくと潜在的に捉えられていて、その前提で統治を行なっていたような・・・

感覚なんですけどね・・・

  • ホイホイ 2009年06月11日 23:12

雑草Zさん、期待に沿うようがんばってみます。

ホイホイさん、コメントありがとうございます。
>幕府はこれを慎重に対処していたというよりは、大きな共同体の潮流の中に、幕府も組み込まれていたんじゃないかな~と思うんです。>

同感です。だから幕府はまさに慎重にこの共同体原理と統治方針を摺り合わせていくことに頭を使っていたのではないだろうかと想定しています。

これからもよろしくお願いします。


 

  • y.suzuki 2009年06月14日 03:43
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