2010年02月23日
『次代を担う、エネルギー・資源』トリウム原子力発電3 核化学反応におけるウランとトリウムの比較
『核エネルギーを利用した発電システムを概観する』を2回にわたって連載してきました。今回は、その中で取り上げられていた、『4.原子炉の中ではどんな核反応が起きているのだろう?』について、詳しく見ていきます。
★ウランとトリウムについて、核分裂反応後にどんな放射性廃棄物が生成されるのだろう?
★ウランとトリウムからエネルギーを取り出す際に物質ごとの効率の違いはあるのだろうか?
★放射性廃棄物の人間に対する影響は?
の3点について検討していきます。
ウラン・トリウムなどの放射性元素も含んだモナズ石
画像は『日本鉱物展示館』さんよりお借りしました。
☆☆☆ウラン編・・・燃料から核廃棄物までのウラン核反応を追ってみる
☆核燃料の殆どが、反応後に残ってしまう
核分裂を起こすウラン235は自然界における存在量は0.7%程度で、残りの99.3%はウラン238という同じウランの仲間ですが、そのままでは核分裂を起こさない物質です。これらの混在物が、核燃料の原料として採掘、精錬された上で、ウラン235を約3%まで濃縮することではじめて、核燃料として使用できるようになります。
つまり実際に使用するウラン核燃料とは、核分裂を起こしにくいウラン238を97%も含んだものなのです。かつ、質量がエネルギーになるのは大雑把には、3%のウラン235のうち、0.2/235の比率分だけですから、それ以外の物質は殆どが残ってしまいます。
表Ⅰ ウラン型原子炉の物質量と核反応変化による生成物
☆天然ウランから核燃料の濃縮段階(図中Ⅰ-Ⅱの段階)
表Ⅰのように、天然ウランの中で核分裂可能なものは0.7%のウラン235です。それを3%に濃縮するには、天然ウランの中の不要なウラン238を取り出し廃棄することが必要です。この廃棄量は、燃料となる濃縮ウランの重量の約5倍に相当します。これらは殆ど、燃料供給国(アメリカ等)で処理されています。
☆濃縮ウランを核反応させてエネルギーと放射性廃棄物が生成される段階(図中Ⅱ-Ⅲの段階)
原子力発電所の中で核燃料を反応させた後は、さまざまな放射性廃棄物が生成されます。ここで、質量がエネルギーに変わるのはほんのわずかですから、物質の殆どが放射性廃棄物として残ると考えていいでしょう。その中でも、図中の濃いブルーの部分がエネルギーに変わる核反応を起こします。それは、物質変化を伴う反応で多数の放射性物質になります。
このなかには『毒性が強い』『遮蔽が困難』など、人間にとって危険な元素に変わってしまったものもたくさんあります。また、核反応しやすいウラン235も未反応のまま残るものがあったり、反応しにくいウラン238がプルトニウムになってそのまま残るものがあったりします。
☆未利用部分のほうが圧倒的に多く、使った分だけ増えていく放射性核廃棄物。
これらを含んだ放射性廃棄物を処理することが原発の前提ですが、大雑把には使った分だけ廃棄物は増え、石油の様に使えば炭酸ガスになって拡散していくことはありません。よって、現時点では発電に伴って放射性廃棄物は溜まっていく一方です。
(注1)ウラン濃縮技術は核拡散防止条約(強国だけが核をもてるようにする条約)もあり、各国のトップシークレットになっています。また、日米原子力協定により、アメリカ以外の地域からの供給を3割以下に制限されているため、肝心の燃料(濃縮過程を終えた燃料)はその殆どを、日本はアメリカから輸入しなければならないという厳しい世界情勢の中にあります。
(注2)現在は核廃棄物の再処理(六ヶ所村等)の過程で、ほんの少し残ったウランや、使用後の発生するプルトニウムの濃縮を認められているなど、国内濃縮もゼロではないようです。これも、世界から見ると日本は核武装するのか?という疑念を呼び起こしています。それほどに、ウランやプルトニウムの濃縮行為は核兵器の核心技術だと言えるでしょう。
☆☆☆トリウム編・・・燃料から核廃棄物までの核反応を追ってみる
☆トリウム溶融塩炉ではプルトニウムは発生しない
トリウム溶融塩炉では、プルトニウム239の親物質であるウラン238を使用しません。その代わり、トリウム232に核反応を人工的に起こさせて、ウラン233という物質に変換して利用します。ただし、トリウムからウランへの変換過程には、別のエネルギー投入が必要で、かつ、この技術自体もまだ確立されているとはいえません。
『トリウム原子力発2 核エネルギーを利用した発電システムを概観する2/2』
☆実用化はまだだが、設計思想としては理にかなっているトリウム溶融塩炉
設計思想面では、固形燃料を使用する現在の原子力発電より、性能も安全性も高いと評価できると思います。ただし、トリウム溶融塩炉は、現時点で実用化されているものではありません。よって今後、実証実験を行っていくならば、現実にはさまざまな課題が出てくると思われます。このあたりを考慮しながら判断する必要があります。
![]()
表Ⅱ トリウム型原子炉の物質量と核反応変化による生成物
☆天然トリウムから核燃料としてのウラン233への核反応過程(図中Ⅰ-Ⅱの段階)
トリウムは核分裂反応をおこさないので、核分裂反応を起こすウランに転換して燃料にします。そのために中性子を投入する核スポレーションいう前処理が必要です。この結果、トリウムの約88%が、燃料として利用できるウラン233に変換でき、約12%はトリウム232のまま残ります。
☆核反応によって得られたウラン233を、再度核反応させてエネルギーと放射性廃棄物が生成される段階(図中Ⅱ-Ⅲの段階)
エネルギーを取り出せる核反応は、88%のウラン233の9割程度で、残りはウラン234・ウラン235などの同位体となります。よって、大きくは、初期投入量の8割程度が核分裂を起こし、キセノンやジルコニウムなどの有害な放射性物質を生成します。この中に、核兵器の材料となるプルトニウムが発生しません。また、溶融塩炉という形式を使えば、いったん稼動し始めると核スポレーションという前処理をしなくても、炉内でトリウム232⇒ウラン233⇒核分裂反応が定常的に行われるのが特徴です。
☆☆☆燃料源としての、ウランとトリウムの性能比較。
☆投入量と変換可能エネルギー
掘削精錬された天然ウランのほんの一部しかし利用しないウラン型原子炉に対して、トリウム型原子炉では天然トリウムの殆どが利用できます。そこで、ウランとトリウムについて、投入量と変換可能エネルギーの関係を表にしてみました。
表Ⅲ 原料投入量と変換可能エネルギー(ウランとトリウム)
原料である、天然ウランや天然トリウムから、どれくらいのエネルギーが取り出せるのか?の相対比較を行いました。
その結果、
①天然ウラン 100単位からエネルギーを取り出すときの、有効な反応物質は 0.52単位程度。
②天然トリウム100単位からエネルギーを取り出すときの、有効な反応物質は79.40単位程度。
③天然ウランと天然トリウムの有効反応物質比は、79.40/0.52=152.69
★つまり、同じ天然資源質量から取り出せるエネルギーは、天然ウランより天然トリウムのほうが、約150倍の大きいということになります。また、これに、固体燃料型と液体燃料型の発電効率の差(推定値でしかありませんが)を加味すると、約200倍の差があることがわかります。
★他方、トリウムの資源埋蔵量はウランの3~4倍です。そうすると少なく見ても、ウランと同量で約150倍。資源量が3倍。両方の要素を考慮すると、150×3倍=450倍になります。つまり、ウランの450倍のエネルギーが取り出し可能なトリウムが、世界には埋蔵されていることになります。これは、安全性や日本には無いという問題はあるとしても、十分検討に値する課題だと思います。
☆☆☆核分裂生成物の比較(ウランとトリウム)
ウラン型とトリウム型の核分裂生成物についてまとめてみました。
表Ⅳ 核分裂生成物の比較(ウランとトリウム)
核分裂後にウランやトリウムは、たくさんの別物質に変わります。その殆どが放射性物質であり、アルファー線、ベーター線、ガンマー線などの放射線を出します。人体に対する毒性は、アルファー線、ベーター線、ガンマー線の順で高くなります。表から読み取れるのは、反応後の物質の殆どが、人体に危険な放射線種に移行するということです。
また、アルファー線は弱い放射線ですが、これを発生する原子を吸引した場合、内部被爆を起こし細胞に悪影響を及ぼします。ベーター線、ガンマー線は、物質透過能力が高く、厳重な遮蔽が必要になります。かつ、何千万年・何億年という人間の歴史を超えたスケールで放射線を出し続けるということが大きな問題になります。
ここまでの課題をまとめると、
① トリウムは単位重量あたりの、取り出可能エネルギーは大きく、資源としては注目に値する。
② 安全性の問題は、ウランもトリウムも根本的な差は無いので、従来の安全性論議を超えたところでの検証が必要になる。
というところでしょうか。
一般的には、安全性が原発の大きな問題点として捉えられていますが、実は国家(官僚)・電力会社・メーカーのインサイダー的推進体制が、国家を後ろ盾とした強大な権力として地域に介入し、地域共同体の意思決定機能を破壊してきたという事実のほうが、より根本的な問題であると思います。
なぜならば、このことは充足基調・本源収束という意識潮流に真っ向から対立し、地域社会を崩壊させてきたからです。よって、次回以降も自然科学的な問題を先行して連載していきますが、最終的には政治的問題、とりわけエネルギー開発の推進体制、新たな意思決定機能についても踏み込み、総合判断を下していきたいと思います。
出典
・ウラン系の物質変化とその比率
内閣府原子力委員会 燃料サイクルの比較 -エネルギー、廃棄物および経済性の観点から- より引用
・トリウム系の物質変化とその比率
「原発」革命 古川和男著 文春新書より引用
・ウランの核分裂反応物は
財団法人 高度情報科学技術研究機構の原子力百科事典 使用済ウラン燃料中に含まれる元素より引用
・トリウムの核分裂反応物は
「原発」革命 古川和男著 文春新書より引用
・核分裂反応物の崩壊形式、毒性は
ウィキペディアの各元素の同位体のページより引用
ウラン・ヨウ素・カドミウム・ストロンチウム など
・ウラン資源とトリウム資源量と発電効率は
「原発」革命 古川和男著 文春新書より引用
・ウランとトリウムの核分裂エネルギー量
「原発」革命 古川和男著 文春新書
理化学辞典 第5版 岩波書店
物理学大百科 朝倉書店
Tweet
- by sinsin
- at 01:40
trackbacks
trackbackURL:

comments
すごい、わかりやすい!!
>① トリウムは単位重量あたりの、取り出可能エネルギーは大きく、資源としては注目に値する。
② 安全性の問題は、ウランもトリウムも根本的な差は無いので、従来の安全性論議を超えたところでの検証が必要になる。
トリウムについては、プルトニウムを生成しないし、安全なものなのかと思っていましたが、安全性の問題は対して変わらないというところがはっきりわかりました(表を見るとむしろ危険物質の割合は多いみたいですね。この表もすごい!)
とは言え、何を扱うにも危険はあってそれは原発に限らず技術力で解決しているのだから、「安全性論議を超えたところでの検証が必要になる」にも納得です。
安全か否か、危険か否かの本質はその成立体制のほうにあるのかなと思いました。
とりうむみならいさんへ
コメントありがとうございます
>トリウムについては、プルトニウムを生成しないし、安全なものなのかと思っていましたが、安全性の問題は対して変わらないというところがはっきりわかりました(表を見るとむしろ危険物質の割合は多いみたいですね。この表もすごい!)
そうなんです。放射線に対する安全性については、どちらもあまり差が無いんです。
このあたりを調査してわかったのですが、各種の悪影響に関するデータをまとめたものは見つかりませんでした。いろんなところから、つぎはぎで合成して初めて全貌がわかるというのが、今の現実のようです。
本当に原子力を人々に認知してもらおうという気持ちがあるのなら、我田引水的に物事を簡略化したパンフレットなどより、このような事実を発表するほうが、よほど有効だと思います。
今の意識潮流からすると、どうすればうまくいくのか?本当はやめたほうがいいのかなどの、冷静な議論が求められているのだと思います。そうなれば、閉塞したエネルギー開発に光が見えてくると思います。
今や、反対されるから、秘密主義で進めていくこという方法ほど時代遅れなことは無いでしょう。官僚・電力会社・メーカーの方々には、このことに早く気がついてほしいと思います。
すごい、今回も大作ですね。
グラフまでとてもわかりやすく、勉強になりました!☆
特に気づきだったのは、同じ天然資源質量から取り出せるエネルギー量が、ウランに比べトリウムの方が格段に多いということ、
それから、核分裂生成物はトリウム発電の場合も同じように危険な物質が発生しているのだということです。
これまで恥ずかしながら、、原子力発電で生成される危険物質というと、プルトニウムしか知らなかったのですが、放射性元素とそこから発生する放射線種まで具体的に知ることで、素人にも原子力の仕組みや問題点が理解出来るのだと実感出来て、わかることが楽しいです☆
>本当に原子力を人々に認知してもらおうという気持ちがあるのなら、我田引水的に物事を簡略化したパンフレットなどより、このような事実を発表するほうが、よほど有効だと思います。
このsinsinさんのコメントに、強く共感します。
次回も楽しみにしています。
資源の有効利用という点では、トリウムは圧倒的にウランより優れていることがよくわかりました。
一方で核エネルギーとしてウラン系の発電がここまで普及し、政策化、制度化、そして安全性の問題が顕在化している今、同じ核エネルギーとして転換するのにも、社会的合意形成の課題の方が大きいように思いました。
コメットさん・darumaさんへ
>>本当に原子力を人々に認知してもらおうという気持ちがあるのなら、我田引水的に物事を簡略化したパンフレットなどより、このような事実を発表するほうが、よほど有効だと思います。
>このsinsinさんのコメントに、強く共感します。
・・・
>一方で核エネルギーとしてウラン系の発電がここまで普及し、政策化、制度化、そして安全性の問題が顕在化している今、同じ核エネルギーとして転換するのにも、社会的合意形成の課題の方が大きいように思いました。
・・・
社会的合意形成の課題も大きな視点は見えてきました。
現在の原発開発と反対運動は、国家権力を取り込のんだ、官僚・電力会社・メーカーの私権(利権)集団と、その権力に対して、批判・要求するだけの反の意識の集団の対立という構図です。この狭間で、本源的な地元の共同体は、ことごとく解体されてきました。
どちらも現実否定意識に、根ざしているため、両者は非充足かつ否定的な対立だけを浮き彫りにしてきました。これは現在の、充足基調の潮流からすると、一般人は引いてしまうような、暗い内容です。
ここを超えるためには、政策の中身はもちろんのこと、その推進方法も重要になります。つまり、科学の未明部分も含めた事実の発表、真摯な議論、その上での共認形成、という流れに移行することが重要課題になると思います。
【トリウム発電でも危険物質は問題になるんですね】
上記本文でも言及されていた、問題となる危険物質の具体例を燃料サイクル毎に簡単に整理すると・・・・
1.フロントエンド
・トリウム自体が自然性、毒性をもつ
2.発電過程
・プルトニウムは生成しないが、結局のところU233という核分裂性物質に変換してそのエネルギーを利用するので、ウラン燃料による発電と危険性の本質は変わらない。
・冷却材として使うナトリウムの危険性
3.バックエンド
■使用済燃料に含まれるタリウムの有害性、再処理困難性
・廃棄物量の少なさが、トリウム炉優位説の根拠となっているが
・使用済燃料に含まれるタリウムの毒性と、再処理の困難性を指摘する資料もある。
・毒性の高いγ線を放出するタリウムはKGB工作員殺害にも使用されたことがあるらしい。
・再処理過程におけるタリウム分離工程が、高度な技術と大がかりな設備が必要
→核兵器への転用を困難にしているメリットもあり、プルトニウムを生成しないこととあいまってトリウム優位性を根拠付けているが
→逆に、適正な再処理の容易性、安全性を困難にしている
↓
これらバックエンド処理技術の目途がつかないことがトリウム炉の実現性を妨げている大きな要因の一つ
が大きな要因のようですね。
トリウム炉の優位性を根拠づける最大の利点として「プルトニウムを生成しないこと」が挙げられますが、上記2.の通り、分裂性物質を生じる点ではウラン燃料と変わらず、上記3.の通り、バックエンド段階では、ウラン、プルトニウム燃料よりもさらに、再処理の困難性というハードルのため、より実現性の見込みが低い。
ということですね。
どんきちさんへ
追加情報ありがとうございます。今回の追求まででも、いままでいわれてたようなトリウム優位説は揺らいできました。
さらに、
>上記3.の通り、バックエンド段階では、ウラン、プルトニウム燃料よりもさらに、再処理の困難性というハードルのため、より実現性の見込みが低い。
この問題は、トリウムに限った話ではなく、どの原子炉でも共通する問題だと考えています。
たとえば『再処理』という言葉が曲者で、この言葉によって何か安全な物質に変換されているような錯覚を受けてしまいます。
しかし現実には、再利用できそうな(いまはまだ再利用できていませんが)ほんの一部の物質を分離するだけで、殆どの物質は、単に永久?封印しているだけです。
かつ、表のように核分裂後は殆どの物質が危険側に変化して、ほぼそのままの量が残ってしまいます。使った分だけ危険な物質に変化して、永久?封印のスペースが増えてくるという状況です。
よって、再処理に関するこのあたりの情報も調査していきます。
>・冷却材として使うナトリウムの危険性
これについては、高速増殖炉などで問題になっています。ナトリウム自体が反応性高く、かつ、微小な継ぎ目でも通過してしまうので、漏れると大事故になるという問題のようです。
だだし、それではこまるので、現在では、低反応のフッ素系混合化合物であるフリーベ溶融塩という物質を使い、ある程度改善されているようです。
なんかすごく勉強になったって感じです。
放射能は全くの初心者なのですが、核分裂生成物の表を見ていて疑問が涌いてきました。
廃棄物が%表示になってますが、これって廃棄物全体に対する残存比率ですね。
とすると、廃棄物の総量はどうなるのでしょうね。
例えば何処かでトリウム熔融塩炉は30年燃え続けるようなことを読んだことがありますが、これが正しいとして、では30年でウラン原発とトリウム溶融塩炉で、天然ウランと天然トリウムそれぞれの必要量が何トンで、そこから出る廃棄物がそれぞれ何トンで、その廃棄物総量の中に核分裂生成物が何%づつ含まれていますという説明ですと自分にももう少し理解できるかなと思いますが、そんな説明というのは放射能の世界では無理でしょうか。
変な質問で申し訳ありません。的外れでしたら無視してください
素人1さんへ
ウラン燃料に関しては
[原子力の過去・現在・未来 山地憲治著]P.85(図3.8 現在の軽水炉におけるウラン燃料の利用のされ方)
に参考になりそうな図解が載っていました。
ただし、これは天然ウラン→濃縮→核分裂までの過程における含有量・率の遷移に関するもので、廃棄物量に関する含有量・率ではなく、直接の答えにはなっていないのですが、もしよろしければ参考にしてください。
この表の要旨をフローにしてみます。
5.5Kgの天然ウラン
↓
⇒4.5Kgの劣化ウラン(濃縮テイル)
⇒1Kgの濃縮ウラン燃料
→235U=30g
→燃残の235U 8g
→236Uに変換 4g
→核分裂して消滅 18g
→238U=970g
→プルトニウムが核分裂して消滅 10g
→燃残りのプルトニウム 9g
→超ウラン元素約 1g
→238Uが高速核分裂して消滅 2g
→燃え残りの238U 約950g
すなわち約30gが核分裂する(=石油約60トン分)ので、1万倍帝都のエネルギー密度となる。
ということです。
まとまった図解のようなものはなかなか一般に公表されている資料は入手しにくいかもしれないので、私の方でも、何らかのデータを統合・整理したものを作ってみます。
(あまり期待しないで下さい。 当ページの編集スタッフさん達に期待したいと思いますが・・・)
素人1さんへ
はじめまして、なかなか難しいですね
まず、
>例えば何処かでトリウム熔融塩炉は30年燃え続けるようなことを読んだことがありますが、
これは燃料補給なしで30年反応し続けるという意味ではありません。必要燃料量を連続的に追加していく(液体燃料)システムなので、創業途中に固形燃料炉のような燃料交換のための休止期間は不要である(と現在予測される)という意味です。燃料は同じように取り出すエネルギー分だけ必要です。
>廃棄物が%表示になってますが、これって廃棄物全体に対する残存比率ですね。
>とすると、廃棄物の総量はどうなるのでしょうね。
おそらく、トリウム溶融塩炉が30年燃え続けるのならば、廃棄物は少なくなるのでは?という疑問ではないかと思います。
最初は大雑把に捉えていったほうがわかりやすいと思います。(というより、ご質問の内容については、エネルギーを取り出すことが主な開発動機ですから、おそらく正確なデータは無いと思います)
まず、燃料としてのウランやトリウムが核分裂しても別の物質に変わるだけで、無くなりわけではありません。その際に、たとえばウランであれば1%にも満たない質量が減ります。これに光速の2乗をかけたものがエネルギーに変わりますから、大変大きな値になります。
このような事情から、燃料物質は反応後に物質は変われども(気体になったものも含めて)同じ量だけ残ると考えても、核廃棄物の量を算出する上ではさほど問題はありません。
そのような前提で、物質がどのように変わっていくのかを、表Ⅰ・Ⅱ出表しています。グレーの帯の放射性廃棄物と書いてある部分が最後に残る量です(このうち、1%くらいは少なくなりますが。)
次に、必要量は、単位燃料物質から取り出せるエネルギー量によってきまりますが、表Ⅲのようにウランとトリウムの1原子あたりのエネルギー量はほぼ同等です。
そうすると、燃料の中の反応成分の量で差が出てくるのですが、表Ⅲのように、天然ウランより天然トリウムのほうが150倍ほど大きい、つまり同じエネルギーを出すのに燃料の量≒廃棄物の量は、ウランに比べトリウムのほうが150の1程度で済むということになります。
どんきちさん、sinsinさん、素人のわけのわからない疑問にこんなに親身にお答え下さってありがとうございます。
私の知識ではお答え戴いた事すら2度3度読み返して少しずつ理解を進めております。
大雑把に天然ウラン5.5kgから235Uが30gで他ははいきぶつですか・・・・・。
こんな僅かな物しか燃料にならないんですね。
あと、ウランとトリウムで150:1もビックリですね。
エーと・・・ウランの廃棄物量150年分とトリウム1年分の廃棄物量が≒ってことなるんですか?
なにか、今の段階はまたまたご迷惑な質問をしそうになってきましたので、ひと休みしてもう少し良く読ませて頂きます。
素人1さんへ
上記、本文ので出典先資料として引用されている
・ウラン系の物質変化とその比率
内閣府原子力委員会 燃料サイクルの比較 -エネルギー、廃棄物および経済性の観点から-
の3ページ目以降で、
①軽水炉で直接廃棄処分の場合
②軽水炉でプルサーマルサイクルの場合
③高速増殖炉の場合
の3通りのサイクルにおける物質量変化を量的にまとめている図がありました。
恥ずかしながら、見落としていました。
こちらをご参考ください。
どんきちさん、ありがとうございます。
これはいいですね。私のレベルにはとても良い教科書になります。
本当に感謝します。
どんきちさんから教えて頂いた資料を読んでみました。
どうも軽水炉ワンススルー、軽水炉プルサーマル(1回リサイクル)、FBR(3回リサイクル)、FBR(無限回リサイクル)どれも廃棄物量はほぼ同じと思えてしまうのですが、sinsinさんの 燃料の量≒廃棄物の量 がどの方式でも当てはまるのでしょうかね。
電気エネルギー発生量が変わるだけなのかな・・・?
溶融塩炉はトリウムを考えているのですが
ウランを溶融塩にすることは
可能なのでしょうか?
ちょっと気になったので、書いてみました。
核分裂生成物ですが
矢ケ崎教授の引用とおおきな差があります。
http://blogs.yahoo.co.jp/kikitata3/28353668.html
の18セシウム137は核分裂生成原子のたったの3.1%
をご覧ください。
トリウム原発が事故を起こした時の危険性は、放射性各種の量や種類だけでは判断できません。微粒子が飛散する意味でウラン-プルトニウム系の方がかなり危険度が高いのでは?トリウムは、溶岩のように固化してしまうそうです。
はじめまして。
原発は今後の電力需要を考えてみても必要だと思います。
問題は情報を捻じ曲げられた現状にあるのではないでしょうか。
トリウム炉 導入すべきだと思います。
いち早く実用化にこぎつけるであろうと予測さえているインド、中国に負けないためにも。
トリウム炉はやはり原発なので核廃棄物は発生しますが、いろいろ利点が多い。
福島の原発事故は余りにも悲惨だが、それをもって全ての原発を否定してしまっては希望がない。
水力・風力・地熱・太陽光・波力 どのエネルギーも不安定か、エネルギー密度が小さいのでとても原子力の代替エネルギーにはならないと思います。
水素エネルギーにしても水素を生成する過程のエネルギーはどうするのでしょうか。
私が有望だと思っているのは『日本海側』のメタンハイドレートとトリウム溶融塩炉です。
トリウム炉の利点は以下の通りです。
①燃料の地殻中存在比が高い
U235:Th232=1:430
②濃縮工程が不要
③核反応による超ウラン元素の発生が極微量
④廃炉においても廃棄物量がウラン炉に比べ少ない。たとえば炉心の構成材である黒鉛は表面の0.1mmを削れば再利用できる
⑤放射性廃棄物の実用的な消滅処理に使える
⑥今回のF1(福島第一原発)のようなメルトダウンは起こさない。
⑦炉の構造が単純
つかれたので後半は手を抜いてます(笑)
元々、燃料となる同位元素(Th232)の濃度が高いので再処理も格段に省けます。副次的な作業が少ないからそれに尾もなって発生する低レベル放射性廃棄物はかなり少なくなるようです。
また、核廃棄物も超ウラン元素がほとんどないので、現在の10万年管理を300年管理まで引き下げることができます。
※長半減期の放射性同位元素は超ウラン元素であることが多いため
間違いがあったらご指摘ください。
多分あると思います。