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2010年03月09日

『次代を担う、エネルギー・資源』トリウム原子力発電【番外編】♪原子力コラム♪~核反応ってなあに?②~

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画像は、日本の国際貢献 Japan's international contributionさんからお借りしました。




〈前回のおさらい〉

らざふぉーど(以下、R):前回の♪原子力コラム♪~核反応ってなあに?①~では、


①原子の基本的構成
②原子核の構成が物質の性質を決めている。
③原子核の構成が変化するときにエネルギーが放出される。



について習ったね。


コメット(以下、K):③について質問があるんですが、どのようにして核反応からエネルギーが生まれてくるのでしょうか


R:じゃあ、具体的な物質を例にして考えていこう。




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★★★核反応でエネルギーが得られるのはなんで?


R:原子炉の中での核反応を例にすると、ウラン235の核分裂では、水素原子核(陽子1個)の質量を1とした場合、もともと235あったはずの質量が、核分裂によって合計234.8ほどの重さの2つの原子核および各種の素粒子(中性子や中間子など)に変化するんだよ。つまり、0.09%くらいの質量がなくなるんだね。


この消えた質量0.2が200Mev(メガ エレクトロン ボルト)という、とんでもなく大きいエネルギーに変換されるんだ。それは、物の燃焼などの、通常の化学反応で発生するエネルギー(ev程度)の数億倍も大きいんだ。


K:質量がエネルギーに変わるんですか?


R:原子の持つ質量とエネルギーの関係は、質量をm、エネルギーをE、光速度をcとすると、E=mc2という関係になることが、アインシュタインの特殊相対性理論によって計算できるんだよ。


K:光の速度が、約30万キロメートル毎秒で、その2乗ってことは…。原子核が分裂するときのわずかな質量の減少が、すごい大きなエネルギーに変換されているんですね!


R:たとえば、このことは、原子炉の中だけでなく自然現象としても起こっているんだよ。原子核は同じ質量の陽子と中性子の組み合わせなので、原子核の質量は、水素原子核のほぼ整数倍になるはずなのだが、精密に計測してみると完全な整数倍ではないんだよ。


ヘリウム4 (陽子2個+中性子2個)  → 3.97(0.75%の減少) 
炭素  12(陽子6個+中性子6個)  →11.91(0.75%の減少
鉄   56(陽子26個+中性子30個) →55.50(0.89%の減少




このように、質量が整数倍よりもわずかに減っている。この質量分がエネルギーに転換していると考えられているんだ。だから、核反応でエネルギーを放出しても、エネルギーに変わる質量はほんの少しの量なので、物質そのものはほぼそのまま残るんだよ。


★原子核からエネルギーが放出される仕組み

R:もともと、宇宙にはエネルギーだけが存在していた。そこから最も単純な水素原子が生まれ、ヘリウム、炭素、鉄…とだんだんと大きな原子へと成長していった。星の誕生と爆発が繰り返されるなかで、さらに重い原子どうしの融合が進んでいったと言われているんだよ。


K:原子の故郷は宇宙なんですね!


R:そのとおり。宇宙空間で大きなエネルギーが加わることによって、原子が生まれたんだよ。
原子核が結合している仕組みは、現在のところ以下のように考えられているんだ。


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画像は、理研ニュース 2009.2月さんよりお借りしました。




★原子核を結びつける力


原子核は、プラスの電荷を帯びた陽子と電気的に中性な中性子で構成されている。プラスの電荷どうしは反発し合うはずなのに、原子核が壊れないのはなぜかというと、核子同士を結合するために、強力なエネルギーが働いているからなんだ。


★高エネルギーだと不安定、低エネルギーだと安定


原子核を結び付けている力(核力)が働く範囲は非常に狭いので、大きなサイズの原子核、つまり原子番号が大きいものは不安定になる。たとえば、自然界の中で一番大きいウランは崩壊しやすく、より小さなエネルギーでも存在できる=安定した小さな原子核へと変化していく


★核反応が起こるときにエネルギーが放出される


原子が分裂すると、それまで原子核を結び付けていたエネルギーが余ってしまう。この余ったエネルギーが原子核の外部へと放出されている。


このようにして、核反応でエネルギーが得られていると考えられているんだ。


※以上の内容は、三田誠広『原子への不思議な旅』より 引用抜粋しました。


K:もう一ついいですか?


R:なんだい?


K:核分裂のときに放射線が出るそうですが、放射線ってなんですか?




★★★核分裂で放出される放射線について


R:原子核が崩壊したり核分裂が起こる際には、α(アルファ)線・β(ベータ)線・γ(ガンマ)線などの放射線が原子核から出ているんだよ。


例えば、地球上で最も質量が重い元素であるウランには、大量のエネルギーが蓄積されている。ウランは、このエネルギーを非常に長い期間(ウラン238の半減期は約45億年)に渡って放出し続けながら、より安定した(=低エネルギー)の物質に変化していき、最終的には鉛206になって安定する。


K:人間の歴史とは時間のスケールがまったく違うんですね!


R:そうだね。自然界では変化し続けているものが、人間の時間感覚では、ずっと同じ物質のままに見えているだけということだね。

【図1:放射性元素の壊変】 

画像は、放射線のはなしさんよりお借りしました。



R:それでは、アルファ線、ベータ線、ガンマ線とは何なのか?を順番に見ていこう。


アルファ線
アルファ線の本体は電子を持たない「ヘリウムの原子核 He」。原子核がアルファ線を出して他の原子核に変換することをアルファ崩壊という。


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【図2:α線の放出】


ヘリウム原子核とは、陽子2個と中性子2個がまとまったもののことを指す。原子核がアルファ崩壊すると、陽子が2個減って原子番号が2個減るんだ。


たとえば、原子番号92のウラン238がアルファ崩壊すると、原子番号が2、質量数が4減って原子番号90のトリウム234へと変化する(図1参照)


アルファ線が物質を透過する性質は3種の放射線の中で最も弱く、紙でさえぎられる程度だが、通常のヘリウム原子が、原子核(陽子2個+中性子2個)の周りに2個の電子が分布しているのに対して、アルファ線は電子を持たないため、周りの電子を奪うことで電離作用を起こして、活性酸素を発生させる。そのため、アルファ線を発生させる物質を体内に吸収すると、細胞を傷付け内部被爆を引き起こすんだ。


ベータ線
ベータ線の本体は「高速の電子 e」。原子核がベータ線を出して他の原子核に変換することをベータ崩壊という。


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【図3:β線の放出】


原子核がベータ線を出すと、原子核内の中性子が1個の陽子(+)と1個の電子(-)に変わるので、結果的には核子を構成する陽子の数が1増える。つまり、原子番号が1つ増えるんだ。電子の質量は核子の質量に比べると0とみなせるので、ベータ崩壊をしても質量数は変わらない。


たとえば、原子番号90のトリウム234はベータ崩壊を起こして、原子番号91のプロトアクチニウム234へと変化する(図1参照)


ガンマ線
ガンマ線とは、赤や青などの人間が見ることのできる可視光線や、波長が短いため人の目には見えない紫外線よりも、遥かに波長が短い電磁波のことなんだ。電磁波は、1秒間に振動する回数が多い=振幅が大きいほどエネルギーが高くなるんだ。


したがって、ガンマ線の物質を透過する能力は3種の放射線の中で最も大きく、厚さ数センチの鉛板でなければ、さえぎることが出来ない。ガンマ線を放出しても、原子番号も質量数も変化しない。ただエネルギーが減少して、安定な状態になる。


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【図4:γ線の放出】


ちなみに原子は、固有の波長の電磁波しか放出しないので、電磁波の種類を調べると物質の種類を特定することができる。太陽の主な成分が水素とヘリウムであることも、太陽光線の波長を分析することで分かったんだ。 


★核エネルギーとは、宇宙の時間スケールで起こる反応



R:宇宙では、その誕生以来こうした原子核レベルでのエネルギーの蓄積と放出をずっと繰り返すことで、様々な種類の元素を生み出し、銀河や星を作り続けてきた。


このように、核反応とは、何千万年~何十億年という宇宙の時間スケールで起こる反応なんだ。核変化を起こす物質(放射性元素)は、安定状態=低エネルギー状態になるまで、人間の歴史をはるかに超えた期間に渡って放射線を出し続けることになる。


核反応からエネルギーを取り出すのは一瞬だが、放射線は人間にとって永久に残り続けると言ってもいい。


この事実から、むやみに核反応をエネルギーに使うことは、自然の摂理に反していると言えるのではないだろうか?


K:なるほど~。原子を調べるってミクロの世界だけでなく、宇宙にも目を向けることになるんですね!
これからも原子力についてもっと勉強していきます。どうもありがとうv

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comments

>原子核が分裂するときのわずかな質量の減少が、すごい大きなエネルギーに変換されている

>核反応でエネルギーを放出しても、エネルギーに変わる質量はほんの少しの量なので、物質そのものはほぼそのまま残る

という点、ナルホド!でした。
質量とエネルギーの関係が分かると、原子力発電の際に投入した原料の多くが放射性元素となって残ってしまうことにも納得できますね!

>核反応とは、何千万年~何十億年という宇宙の時間スケールで起こる反応

>核変化を起こす物質(放射性元素)は、安定状態=低エネルギー状態になるまで、人間の歴史をはるかに超えた期間に渡って放射線を出し続けることになる

という点も、ナルホドです。
たとえば石油などを利用するのは、長大な時間をかけて高密度になったエネルギーを一気に消費してしまっていることになりますが、
原子力発電の場合も、どうも自然の摂理からは逸脱したスピードでエネルギーを獲得しようとしているように感じます。

こうして原理を押さえていくと、原子力エネルギーに対する「コワイ」「アブナイ」などの根拠のないイメージから、事実はどうなのか、が分かってきて、一緒に考えていけるのが、とても嬉しく、活力が湧きます。

  • nae 2010年03月11日 21:09

第2弾も大変楽しく読ませてもらいました。

>核反応からエネルギーを取り出すのは一瞬だが、放射線は人間にとって永久に残り続けると言ってもいい。この事実から、むやみに核反応をエネルギーに使うことは、自然の摂理に反していると言えるのではないだろうか?

核を使うことで、目先のエネルギーは得られても、危険な放射線が出まくるというのは環境破壊となにが違うのかなとも感じました。
一方、太陽がそうした活動をしていることはどういう摂理があるのか、ないのか。。。が気になってきました。
また、現実的にエネルギーが必要なことも事実で、トリウムによって過渡期を埋められるならばと考えてしまうのも人情でしょうか。
なんなんでしょう、このモヤモヤは、、、。
「自然の摂理から環境を考える」っていうタイトルの重要性みたいなものを感じてきました。

  • とりうむみならい 2010年03月11日 22:37
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